楽天VTIと本家VTIのリターンを比較〜現段階ではどちらも一長一短です

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こんにちは、ぽんくろです。

以前の記事で積立投資におけるリターンの差で両者を比較をしましたが、積立投資だと初回に投資した金額の比率がだんだんと薄まってしまい本来的な運用の実力差が見えにくかったため、今回は一括投資の場合で比較したいと思います。

なお、今回は経常的なリターンの差を分析するため、売買手数料などの1回だけ発生するコストの影響は除外し、毎年発生する経常的なコストのみでリターンを比較していきます。

楽天VTIと本家VTIのリターン差について

検証を行う前に経常的なリターンの差が生まれる原因について整理しました。

楽天VTI 本家VTI
信託報酬の差 本家VTIに追加で+0.1296%の信託報酬がかかり、さらに隠れコストも発生する。 隠れコストまで含んだ総経費率が0.04%で米国株ETFでも最安クラス。
現地課税(米国) 取り戻せない。 外国税額控除によって一部は後から取り戻すことが可能。
課税繰り延べ 本家VTIからの分配金はファンド内で再投資されるので課税の繰り延べができる。 現地課税後の分配金受取額に対して20.315%の国内課税が即座に発生する。
ポイント還元 楽天証券なら楽天銀行と連携することで年率0.048%が楽天ポイントで還元される。 特になし

有利なほうの説明文には黄色のマーカーを引いています。楽天VTIが本家VTIに勝つためのポイントは課税繰り延べによる複利効果が年間コスト差による不利分を上回れるかどうかです。

検証の基本ルール

今回の検証の基本ルールは次の通りです。

  • 2018年4月2日に一括投資を行い、10月5日までの約半年間におけるリターンを比較する。
    (分配金による影響を2回分織り込むためにぴったり半年から若干長くとった)
  • シミュレーションでは4月2日〜10月5日までの実際価格を使用し、同時期に一括投資した場合の実際のリターンで比較する。
  • 毎年発生する経常的なリターンを比較するために、為替手数料や売買手数料などの最初や最後に1回だけ発生するようなコストの影響は除外する。
  • 楽天VTIの基準価格は「前日のVTI終値」と「当日の為替レート」を参照しているため、本家VTIを直接買う場合と比べて当日末時点の評価に1日分のタイムラグが生じる。このため、今回の比較では各日時点におけるリターンの評価は米国市場の開始前で行うこととする。
  • 楽天VTIの価格には本家VTIの分配金基準日にすぐに分配金の影響が織り込まれるのに対し、本家VTIに直接投資する場合は入金日までに何営業日かのタイムラグが生じるため、現実にはすぐに再投資ができない。しかし、今回の比較では入金までの時間差は無いものとして処理する。
  • 課税タイミングの差による影響が出ないようにするため、各日時点における評価はその時点で全決済して日本円に戻したと仮定した場合の税引後リターンで行うこととする。

実質コストは運用報告書の通りか?

検証にあたって、まず楽天VTIのベンチマークからの乖離は運用報告書にある実質コスト分だけなのかを確認しておきます。

というのも、第1期の運用報告書では経費明細に載っている実質コストだけでは説明がつかないベンチマークからの大きな下方乖離があったからです。

こんにちは、ぽんくろです。 僕を含む一部のインデックス投資家にとっては長らくお待ちかねでしたが、...

次の条件で楽天VTIと本家VTIのリターンを比較することで、楽天VTIがベンチマークに忠実に運用されているかを確認したいと思います。もし忠実であれば実質コスト差の分だけがリターンの差として現れるはずです。

楽天VTI 本家VTI
分配金の再投資 (ファンド内でされる) する
外国税額控除 しない
ポイント還元 なし

結果は次の図の通りでした。

リターンの推移で見るとほとんどぴったりくっついていて違いが分かりません。終盤において少しだけ赤色のラインが上回って見えるかなっていうくらいです。

詳細に違いを確認するために両者の差異だけを積み上げたものが以下の図です。楽天VTIを基準として本家VTIがどれだけ上回っているかでグラフを作っています。

これを見ると差異はキレイな直線上で右肩上がりなことが確認できます。半年間の運用結果では本家VTIの方が0.127%ほど楽天VTIを上回っていました。

これは単純に2倍してみると0.254%であり、運用報告書の経費明細を年換算して求めたVTIとのコスト差=0.271%と大きくは変わりません。

したがって、4月以降については実質コストだけでは説明できないベンチマークからの乖離はほとんど発生していないと言ってもいいでしょう。

パターン別のリターン検証

それではいろいろと条件を分けた楽天VTIと本家VTIのリターン比較を見てみようと思います。今回用意したのは以下のパターンです。色は後で出てくるグラフの線に対応しています。

①青色 ②緑色 ③黄色 ④赤色 ⑤紫色
投資先 楽天VTI 楽天VTI 本家VTI 本家VTI 本家VTI
ポイント還元 なし 年0.048%
分配金の再投資 (自動) (自動) しない する する
外国税額控除 しない しない 半分戻る
税引後リターン 14.611% 14.639% 14.714% 14.738% 14.790%
リターン差 ±0.000% +0.028% +0.103% +0.127% +0.178%

「①青色」と「④赤色」はさきほど上でやった検証と全く同じ条件です。

ポイント還元の0.048%は楽天証券×楽天銀行のハッピープログラムを想定しています。これは各月の3日(もしくはそれ以後の最も早い平日)に付与され、その当日にすべて再投資しています。

外国税額控除は全額取り戻せない場合が多いので半分だけ戻ることにしています。また、分配金を受けとった時点ですぐ取り戻せるわけでは無いのでこの分の再投資は行っていません。今回のグラフでは見た目の分かりやすさのために分配金が発生したタイミングで反映させています。

上記の結果より、やはり追加の信託報酬0.1296%+隠れコストがかかるため、経常的なリターンでは楽天VTIのほうが分が悪いです。課税繰り延べ効果もこの短期間ではまだほとんど効いてきていません。

ただし、実際には本家VTIでは為替手数料や売買手数料などのコストが最初と最後に発生します。SBI証券×住信SBIの場合でも片道で為替手数料4銭(1ドル110円なら約0.036%)と税込0.486%の負担があるので、往復だと約1.044%がかかります。

最もリターン差の大きい①と⑤の場合でも半年間で0.178%の差なので、トータルリターンで本家VTIが逆転するまでには単純計算で早くて3年弱かかることになります。

なお、月々の投資資金が少ない場合だと、外国株の売買手数料ロスが大きいことや投信は楽天カード決済で1%のポイント還元がフルで効いたりすることから、イニシャルコストの差は更に大きくなり、取り返すまでの年数がかなり伸びます。そうなると、その間の環境変化リスクを考えれば楽天VTIで運用するのが正解だと思います。

ある程度の資金がある人だと、少なくとも運用期間は3年以上として途中の再投資や外国税額控除といった手間をかけることが苦でないなら、現時点の環境では本家VTIを選ぶのは全然アリだと思います。

税引前の評価額では?

短期間における経常リターンでは年間コストの小さい本家VTIに軍配が上がりました。しかし、最終決済前の税引前リターンで勝ってさえいれば課税繰り延べ効果によって運用年数が伸びるにつれて経常リターン差は複利的に縮まっていくはずです。

なので、上記と同様の方法で税引前リターンについても比較してみました。

①青色 ②緑色 ③黄色 ④赤色 ⑤紫色
投資先 楽天VTI 楽天VTI 本家VTI 本家VTI 本家VTI
ポイント還元 なし 年0.048%
分配金の再投資 (自動) (自動) しない する する
外国税額控除 しない しない 半分戻る
税引前リターン 18.336% 18.365% 18.279% 18.308% 18.360%
リターン差 ±0.000% +0.028% −0.057% −0.028% +0.023%

本家VTIは分配金の発生時に課税がかかるため、そこでガクッとリターン差が縮まります。

このグラフでついている差は今後複利で広がっていくため、税引前リターンでの差が最終の課税影響を上回った時点で課税後の最終損益も上回ることになります。したがって、超長期的にはトータルリターンもこのグラフでの順位に収束することになります。

つまり、今の投資環境が未来永劫続くのであれば「②緑色」のポイント還元を利用した楽天VTI運用が最も効率的な運用方法だと言えます。

ただし、「⑤紫色」と税引前リターンでほとんど差は無いことから、課税繰り延べ効果での経常リターン逆転が起きるのは数十年スパンの話になりそうです。

また、紫色のラインは最終的に青色のラインを上回っていることから、楽天VTIはポイント還元が無ければ課税繰り延べ効果で本家VTIとの年間コスト差を覆すことはできないと言えます。

まとめ

  • 投資金額が小さい場合は外国株投資だと売買手数料でロスが生じるため、迷わず楽天VTIでの運用を選べばOK。
  • 数年以内の短期においてはイニシャルコストの差で楽天VTIのほうが有利と言える。
  • 経常的リターンでは本家VTIのほうが上回っているため、手間さえかければ数年以上の運用期間においては本家VTIのほうが有利となる。
  • 年間0.048%のポイント再投資ができる前提であれば、数十年スパンの超長期では課税繰り延べ効果によって楽天VTIのリターンが再逆転すると考えられる。
  • ただし今の投資環境が未来永劫続くわけでは無いので、ポイント制度変更などによって超長期でも結局は本家VTIが勝つ可能性も十分にあり得る。