こんにちは、ぽんくろです。
SBI証券からのプレスリリースによると、11月よりiDeCo(個人型確定拠出年金)の新たなプランとして「セレクトプラン」を導入するとのことです。
SBI証券はこれまで後発の他社と比べてiDeCoの商品ラインナップでは見劣りしていると感じていましたが、これで総合力としては頭一つ抜けた存在になったのではないでしょうか。
なお、新プランは2018年11月1日より資料請求の受付が開始される予定で、プランの変更は手数料無料で行うことができます。
気になる商品ラインナップは?
リリースによると、新プランでは「低コスト」と「多様性」にこだわって提供する商品を選定したとあります。実際に商品ラインナップを確認してみるとまさに最強の布陣でした。
最大のポイントはeMAXIS Slimシリーズを各アセットクラスで取り揃えている点です。特に米国株式(S&P500)と全世界株式(除く日本)が入っているところが素晴らしいです。
個人的に気になったファンドをピックアップするとこんな感じです。
分類 | ファンド名 | 信託報酬 | 実質コスト |
---|---|---|---|
国内株式 | eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 0.1717% | 0.178% |
米国株式 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.1728% | (不明) |
先進国株式 | eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.1177% | 0.198% |
新興国株式 | eMAXIS Slim 新興国株式インデックス | 0.2041% | 0.391% |
全世界株式 | eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | 0.1534% | (不明) |
全世界株式の実質コストは決算前なので不明ですが、マザーファンドは既存ファンドと共通なことから低コストで運用可能と思います。
S&P500は新たにマザーファンドが設定されたため、初年度のコストは高くなるかもしれません。※S&P500のマザーファンドは新設されたわけではないそうです。でも基準価格の動きからは高コストっぽいので謎です。
競合他社とのラインナップ比較
「多様性」をウリにしているだけあって、インデックス運用のファンドだけを見ても様々なベンチマークに対応したものが取り揃えられています。とはいえ、個人的にはちょっと過剰だと思います。ぶっちゃけeMAXIS Slimがカバーしている範囲だけあれば十分です。
主だったところを競合他社と比較したのが次の表です。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | ||
---|---|---|---|---|
国内株式 | 日経平均 | ニッセイ 0.1717% |
たわら 0.1836% |
DCニッセイ 0.1825% |
TOPIX | eMAXIS Slim 0.1717% |
三井住友DC 0.1728% |
DIAM DC 0.1674% |
|
米国株式 | NYダウ | iFree 0.2430% |
ー | たわら 0.2430% |
S&P500 | eMAXIS Slim 0.1728% |
ー | ー | |
全米 | ー | 楽天VTI 0.1696% |
ー | |
先進国株式(除く日本) | eMAXIS Slim 0.1177% |
たわら 0.2160% |
eMAXIS Slim 0.1177% |
|
新興国株式 | eMAXIS Slim 0.2041% |
日興DC 0.5940% |
eMAXIS Slim 0.2041% |
|
全世界株式 | 除く日本 | eMAXIS Slim 0.1534% |
ー | ー |
すべて | 雪だるま全世界 0.1500% |
楽天VT 0.2296% |
ー |
後発の不利を挽回するためにeMAXIS Slimをひっさげて登場したマネックスのiDeCoでしたが、今回のSBI証券の対応は完全にマネックス殺しと言っていいです。
楽天証券はコスト面では楽天VTI以外は完敗です。ただ、僕みたいな米国派にとっては米国株式以外のアセットクラスでいくら負けていようと関係ないので、特にデメリットはありません。
出口戦略におけるデメリットは未解消か
SBI証券のiDeCoは他社と比べて年金受取時の選択肢が狭いというデメリットがあります。具体的には次の点です。
- 受け取り方法は一時金と年金の併給ができない
- 年金にした場合の選択肢も5年と10年の2パターンのみ
今回のリリースでは特にアナウンスが無いことから、おそらく受け取り方法については従来のまま変わらないものと思われます。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
---|---|---|---|
一時金と年金 | どちらかを選択 | 併給できる (10%刻みで設定) |
併給できる (10%刻みで設定) |
年金の受取方法 | 5年 or 10年 | 5年〜20年 (1年単位で設定) |
5年〜20年 (1年単位で設定) |
将来的には他社と同等なサービスにまで改善される可能性はありますが、現時点ではこの部分に関しては明らかに他社サービスよりも劣っています。
新規加入者ならiDeCoはSBI証券の一択
出口戦略におけるデメリットはあるものの、新規加入者にとっては現時点ではSBI証券のセレクトプランが総合的に考えてベストな選択だと思います。
実際に年金を受け取ることになるのは遠い将来であるため、それまでにSBIのサービス改善や国の税制変更があるかもしれないからです。なので、とりあえずは運用時のコストや選択肢を優先すべきだと思います。
一方で、すでに他社でiDeCoを運用している方にとっては現時点では乗り換えるほどのメリットは無いと思います。移管手数料や2〜3ヶ月の運用の空白期間を考えると、ファンドの信託報酬の差ではこれらのロスを取り戻すためには長い年月を要すると思われるからです。